狩るから、育てるへ。『モンスターハンターストーリーズ』レビュー

感想
©CAPCOM

『モンスターハンター』をRPGにしたらどうなるのか。
『モンスターハンターストーリーズ』シリーズは、その問いに対する理想的な答えだと感じました。

タイトルが示すように『ストーリーズ』シリーズは『モンスターハンター』シリーズに物語性を加え、RPGとして再構築した作品です。ただし本作は「モンハンをRPGにした作品」ではなく、「モンハンの面白さをRPGへ翻訳した作品」です。

その実現に向けて、モンハンシリーズの遊びをRPGへ落とし込む工夫が随所に見られます。

本稿は『モンスターハンターストーリーズ』と『モンスターハンターストーリーズ2』のクリア後レビューです。両作ともPS4版でプレイしています。主に『ストーリーズ2』を念頭に感想を書きました。

遊び方が分かると一気に面白くなる

本作の肝は、相手を観察すること。
モンスターには行動のクセがあります。そのパターンを読み、こちらの選択を合わせることで戦闘が有利になります。

序盤は「なるほど、じゃんけんのゲームなんだ」と考えていました。しかし、しばらくプレイを続けるとそれでは半分しか理解できていないと気づきました。

本当に見るべき相手は敵だけではありません。

味方となるオトモンも、モンスターと同様にクセがあります。その行動をよく確認してプレイヤーの選択を調整していくことが大切です。そこではじめてダブルアクションやライドの絆技などの大技につながり、戦況が有利になります。

もちろんオトモンは思い通りに動いてくれない時もあります。ただその煩わしさこそが、一緒に戦っている存在を感じさせてくれます。オトモンと息が合い、相手をほとんど何もさせずに勝てたときの爽快感は格別でした。

これが上達した実感と満足感にもつながります。

「モンハンらしさ」をRPGへ翻訳する

『ストーリーズ』には従来のファンが思わずうれしくなる仕掛けがあります。
それはこれまで戦ってきたモンスターたちが、デフォルメされた姿で登場し仲間になってくれる点です。なつかしさとともに新鮮さを感じられるのが本作です。

『モンスターハンターワールド』で苦戦したレイギエナやトビカガチと再会できたのは、とてもうれしい体験でした。そしてあのネルギガンテをオトモンにできたときの高揚感。

思いがけない再会は冒険を進める楽しみの一つです。「あのモンスターがこのような表現になるのか」という驚きがゲームを進める原動力になります。

こうした体験は「モンスターハンターらしさとは何か」を改めて考えるきっかけになりました。

本家『モンスターハンター』では、装備やスキル構成を工夫し、より効率よく強敵を狩れるようになり、さらに新しい装備や構成を試していく。この試行錯誤の繰り返しこそが面白さです。

『ストーリーズ』では、このサイクルがオトモンの絆遺伝子を組み合わせる育成へと置き換えられています。

モンスターとの戦いを重ねる中で、より良い構成を考え、少しずつ最適化していく。この感覚は間違いなく『モンスターハンター』そのものでした。

モンスターたちの魅力に加えて、この「モンハンらしさ」があったからこそ、本家とは異なるゲームデザインでありながら違和感なく楽しめました。

『2』で大きく進化した育成の遊び

『ストーリーズ』と『ストーリーズ2』を比べてみると、『2』の遊びやすさは大きく改善しています。フィールド移動の快適さ・ファストトラベルの使いやすさなどで、プレイ中のストレスは大きく減っています。

モンスター育成RPGで最も重要な育成システムも進化しています。
『2』では多様な絆遺伝子に加えて、配置の自由化と重ね強化が加えられました。

オトモンの育成にはレベル以上にこの遺伝子の組み合わせが大切です。3×3のマス目に任意の遺伝子を配置し、ビンゴを成立させることで強化ボーナスが加算されていきます。

前作では遺伝子の位置が固定されていたため、理想の構成を作ろうとしても思い通りに組めないことがありました。 『2』では自由に配置できるようになり、ビルドを考える楽しさが一気に広がっています。

遺伝子を集め、構成を考え、さらに強化していく。
自由度が増し、できることが増えたことで戦闘だけでなく育成を考える時間がより楽しくなりました。

一方で進化した点があるものの、惜しい点もありました。
集めた遺伝子の検索性があまり良くなく、目的の遺伝子を探すのにかなり手間がかかります。この点が改善されていれば、さらに快適だったと思います。

王道だからこそ親しみやすい物語

ストーリーは良くも悪くも王道です。

ストーリーズシリーズは友情や成長を丁寧に描く作風。幅広いプレイヤーが受け入れやすい物語になっています。

『1』では、ライダーとして世界を広げる主人公と、復讐に駆られる友人との関係が描かれています。『2』では、先達との出会いの中でライダーとしての成長とオトモンを信じる葛藤が描かれます。

それぞれが別の主人公でありつつ、世界観は同じで主要キャラクターが共通して登場しています。そのため『2』だけでもプレイ可能ですが、ストーリー面では『1』を先にプレイしておくことをおすすめします。

しかし、受け入れやすい反面、予想を裏切る展開や苦しみのあるドラマは控えめです。強い衝撃や考察の機会を求める方には少し物足りなく感じるかもしれません。本編は終始、絆と成長を描く王道の物語です。そのため「ありがち」と感じる人もいるでしょう。

とはいえ、本作が目指したのは安心して楽しめる冒険譚なのでしょう。あえて奇をてらわない物語だからこそ、オトモンとの絆や成長が素直に伝わってきます。各地を巡り、出会いを重ねる物語は十分に豊かなものでした。

『モンスターハンターストーリーズ』は、本家『モンスターハンター』をそのままRPGに置き換えた作品ではありません。狩猟アクションの面白さを、「観察」「育成」「構築」というRPGならではの遊びへと翻訳し、新たな魅力として成立させた作品です。

さらに、魅力的なオトモンとの出会いや王道の成長物語が、その遊びを最後まで支えてくれます。モンハンファンにはシリーズの魅力を新たな視点から再発見できる作品であり、未経験者にとってはシリーズへ触れる入口としてもおすすめできる作品です。

基本情報

タイトル 『モンスターハンターストーリーズ』

  • 発売日 3DS:2016年10月8日 iOS、Android:2017年12月4日 Switch、PS4、Win:2024年6月14日
  • ジャンル RPG
  • 対応機種 ニンテンドー3DS iOS、Android Nintendo Switch、PlayStation 4、Microsoft Windows
  • 開発・発売元 マーベラス、カプコン
  • CERO A

タイトル『モンスターハンターストリーズ2~破滅の翼~』

  • 発売日 Switch、Win:2021年7月9日  PS4:2024年6月14日
  • ジャンル RPG
  • 対応機種 Nintendo Switch, PlayStation 4, Xbox One, Steam
  • 開発元 マーベラス、カプコン
  • 発売元 カプコン
  • CERO B

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