【読書感想】書くことは人生。~いしかわゆきさんの『書く習慣』を読んで

読書

『書く習慣』は、具体的なライティング技術を紹介した本ではありません。

それ以前の、「書いてみよう」と思う力を与えてくれる本です。

書く技術を身につけるために読むのではなく、いしかわさんの言葉を受け取るために読む本

そういった印象を受けました。言葉の選び方が力強く、「そういうことか!」と勇気がもらえます。

今回は、『書く習慣』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

背中を押してくれる、書こうと思わせてくれる

つまり、国語が苦手でも語彙が少なくても有名じゃなくても、なんでも書いていいし、世界中のどこかに、それを読んでくれる人が必ずいるということ。

必要なのは「書いてみよう」と思う気持ちだけ。

あまり難しく考えず、気構えず、はじめていいんです。

p13

書きたいと思っているのならば文才など関係ありません。へたくそな文章でも発信していいし、きれいにまとまっていなくてもいい。

『書く習慣』はどこまでも、書くことを応援してくれる本です。その気にさえなれば、あとはやってもいい。

わたしたちが生まれてきたこと自体に意味がないように、文章にもとくに意味はありません。強いて言うなら、その意味のない文章に、意味づけするのは読んだ人。

p46

一番衝撃を受けた部分です。今までの考え方が、ぐるっと180度変わってしまうような。

時に、「他人からこう思われたい」という思いが僕たちの動きを縛ってしまうこともあります。文章を書く上でも、価値を提供しようと強く思いすぎると筆が進まなくなる。これはとても苦しいことです。

もちろん、文章の価値にまったくの無関心でいることはできません。こうやって発信する以上は、誰かの役に立ってほしいと願うことは人の性です。

でも、「意味を決めるのは読んだ人」という発見は書くことの自由と楽しさを与えてくれます

純粋な「書きたいこと・伝えたいこと」が、まずもって自分の中にあるはず。それをもっと大切にしてもいいと思えました。

文章も同じで、その瞬間のことは、その瞬間の自分にしか書けない。だからこそ、写真を撮るように今の自分を残しておいてほしいのです。

p199

そうかもしれない。

大人になってしまうと、見た目が急激に変わることは滅多にありません。

だから性格や考え方も大きく変化しないと錯覚してしまうのかも。でも、そんなことはありません。

今の自分は今にしかいない、に類する言葉はよく聞きます。

書き残すことによって、今の自分が残る。

そうすることで、五年後の自分とは違っていることが明確になるかもしれません。

他人のような自分を見つけるって、すごく面白そうだと僕は感じました。

「書くことがない」に対して

ルールは簡単。日常生活のなかで、「今、気持ちが動いたな」と感じたら、その出来事と思いをメモするだけ。

p59

「楽しかった」「大変だった」など、一言で済ませられるようなことも、「どうしてそう思ったんだろう?」と掘り下げることが思考を深める練習になります。

p90

次の段階の話ですが、ただの日常を読んでもらえる文章にするコツです。「なぜ?」の観点で日常を掘り下げることで、自分でも気づいていなかった発見にたどり着けるので、学びがなさそうなところから無理やり学びを捻り出せるようになってくるのです。

p90

いしかわさんは「秒で書く」という言葉を使われています。

著者の勢いのある言葉の選択が面白いです。少し、体育会系のノリですけどね。でも、その一瞬に対して敏感になり瞬発力を持つことの大切さを一言で表されていると思います。

次に、メモからネタとしてのブラッシュアップ。これによって、自分に対する理解度が上がります。

発見をしていくのは面白いことです。それは、他人に向け文章を書くだけでなく、人生を通しての遊びになりそうです。

インプットだけでもダメだし、アウトプットだけでも書きたいことはいつか枯渇してしまう。だから、「書きたくないな」と思うときは、いったん気持ちを切り替えて、意識的にアンテナを立てて情報を集めてみてください。本や映画など、好きな作品に触れるのもいいし、誰かに電話して話を聞いてみるのもいい。自分の外側に目を向けてみることで、「言いたいこと」が湧き出てきて、「書いてみようかな」となるんです。

p105

もちろん、いろんなコンテンツに触れてみることも重要なネタ探しのひとつ。むしろコンテンツに触れつづけているかぎり、テーマは無限に出てくる。そう言っても過言ではありません。

p105

「ネタ探しに読書をしよう!」だけではないのがいしかわさんの魅力です。

本書全般を通して伝わってきます。

書くことは、自分の人生を愛することにつながっていく

そんな優しさを感じるメッセージがこめられていて、この本が好きになりました。

おわり

記事の最後はまとめようとしなくていい、といしかわさんは書かれています。「まとまらなかったけど終わります」でもいいし、関係のない話でもいい。

だから、がんばってまとめたりしません

個人的に最近は「書くこと」について考えていることが多いです。すっかりハマってしまったということでしょう。

似たような投稿が続いているのも、後から読み返してみると面白いのかなあ。

それでは、ここまで。お読みいただきありがとうございました!

・書誌情報

いしかわゆき『書く習慣  自分と人生が変わるいちばん大切な文章力』クロスメディア・パブリッシング(インプレス)、2021年、キンドル版

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